感染リスクの高い人の属性とは

大辞泉によれば、市中感染とは、病院などの医療機関に立ち入らず日常生活を送っている人が、感染症にかかることだそうだ。その意味では市中感染が拡がっていることは疑いない。しかし、市中感染が拡がっているとの表現からは普通に日常生活を送っていても感染してしまう可能性が相当あるといった印象を受けるのは私だけだろうか。新型コロナウイルスに関しては日常生活で感染する可能性はそこまで高まっていないであろう。感染対策を行いながら日常生活を送れば感染を相当回避できるのであれば、むやみに市中感染の恐怖を煽るのはいかがなものであろうか。

感染経路不明の増加が市中感染の恐怖を増幅させているのであろうが、「感染経路不明」自体が真の感染経路不明とはかけ離れたものであることは以前明らかにした通りである。市中感染の恐怖は日常生活を送っていながら知らないうちに感染する恐怖であり、感染した後で振り返っても感染経路が思い当たらない恐怖である。感染経路不明の解明は極めて重要だと思うがあまり進展が見られない。

クラスター分析も良いのだが、感染者の属性に関する分析が乏しいのではないだろうか。現在明らかになっている感染者の属性は年齢と居住地程度である。だから、若者は行動制限をすべきだとか、東京はGo To トラベルの対象外とすべきだとか、などの言説が誘発されている。しかし、「若者」とか「東京」とか、かなり大雑把な物言いで、未だに深化が見られない。もう少し細かい属性で注意喚起が必要なのではないか。

感染経路で問題とすべきは知人からの感染か、その他の人からの感染かであるように思う。感染経路不明の割合が相当あるので結論づけるのは難しいが、明らかになっている感染経路は圧倒的に知人であり、見ず知らずの人から感染しているケースは感染初期はともかく現在ではほとんど無いようだ。知人以外の感染経路として明らかになっているのは、以下のような経路である。
観光バス
カラオケスナック
劇場・ライブハウス
スポーツクラブ
飛行機

飲食店については武漢で空調を経由した感染が指摘されている。

あとは接待を伴う飲食店での客とスタッフとの間の感染や、病院でのスタッフと患者間での感染だろうか。

全体として知人以外の感染経路は大きく減少しているように見受けられる。よって、知人との接触をどのようにコントロールするかで感染拡大を抑制することもできそうである。移動距離だとか観光だとかは感染防止にあまり重要ではないのではなかろうか。おそらくスーパーでの買い物もほとんど問題ないであろう。

観光で問題となるとすれば移動距離ではなく、誰と行くかではなかろうか。旅行先でどのような行動をするかによるが、一人旅で感染が拡大するとは考えにくいし、同居している家族での旅行も感染の観点から見れば日常の延長に過ぎない。おそらくはリスクが高まるのは同居していない家族や友人との旅行であろう。

観光旅行でなくとも、同居していない家族や友人が会うことが感染リスクと言っても良いだろう。

友人や知人に会うことが感染リスクであるとすると感染リスクが高い人の属性は以下のようなものではないだろうか。
大人数で同居・共同生活している
大人数の組織に属している
日常的に訪問する、あるいは集まる場所・活動が多い
頻繁に様々な友人・知人(あるいは客)と会っている
クラスター化しやすい場所に日常的に行っている

大人数で同居・共同生活している
最近では判明している感染経路のほとんどが家庭内感染であるようだ。その観点では大家族は感染リスクが高いと言えよう。大人数での共同生活もリスクが高い。ホストクラブでの感染拡大は多くのホストが共同生活をしていたために一気に拡がった。在日外国人の感染拡大も同様の構造が認められる。寮や合宿所はその最たるもので、クラスターも報告されている。シェアハウスもリスクが高いと言えるだろう。修学旅行やスポーツの遠征なども大部屋での宿泊なら同じく問題になろう。
入院患者や高齢者施設に入居している人なども高リスクである。クラスターが数多く報告されている。
共同生活というわけではないが、長時間大人数で同一空間を共有するようなことも避けた方が良いのかもしれない。長距離バス移動はリスクが高いのかもしれない。
一方で同居・共同生活している人数が少なければ感染リスクは低い。一人暮らしは感染リスクゼロと言っても良いだろう。

大人数の組織に属している
接する人の数がそのまま感染リスクであるのだから、大組織に属していれば感染リスクは高くなる。小学校よりは大学、中小企業よりは大企業の方が感染リスクは高い。もちろん、単純に属しているというだけではなく、実際に接触する人数で評価すべきだが、リスク属性としては機能するであろう。

日常的に通う、あるいは集まる場所・活動が多い
引きこもり生活が最も感染リスクが低いことは確かだと思うが、オンラインで生活を完結できる人は少ない。最低限職場なり学校なりに通わなくてはならない。

同じ学校でも学校の種類によって感染リスクは異なるだろう。おそらく小学校よりは中学校、中学校よりは高校、高校よりは大学の方が感染リスクが高いだろう。グループ行動のグループの組み替えの程度の違いである。小学校ではほとんどの授業がクラス単位で担任教師が授業を行うのに対して、中学校では授業はクラス単位が中心ではあるものの専門教員が行う。高校では中学と同様であるが、選択科目でさらにグループが分かれる。大学では選択科目がさらに増え、大教室での講義も増える。現在多くの大学ではオンライン講義中心なので実際の感染リスクはそれほどでもないかもしれないが、対面講義に戻れば大学は最も感染リスクの高い学校であろう。

日常的に通う・集まるという意味では、クラブ・サークル活動は感染リスクたり得る。そして習い事である。クラブ・サークル活動、習いごとを何もしていなければ感染リスクは大きく低下しよう。もちろん、活動内容や一緒に活動する人数によって感染リスクも異なるだろうが、わかりやすい属性としては数ではなかろうか。1つしか習いごとをしていない人よりもたくさん習い事を掛け持ちしている人の方が感染リスクが高い。同様にアルバイトなど副業を掛け持ちしている人や通うべき職場が複数ある人なども感染リスクが高いだろう。

ただし、クラブ・サークル活動、習いごと、職場などはそれ自体はさほど感染リスクは高くないのかもしれない。実際の感染は集まりをきっかけに飲食に出かけた際である可能性も十分にあるが、リスク属性としては機能するであろう。

日本で発生したとは聞いていないが、海外では教会クラスターが発生している。集会を重視する宗教を信仰する人は高リスクと言えるだろう。

また、飲食店の常連として通う馴染みの店が多い人も感染リスクが高いだろう。複数の医者や高齢者施設に通う人も要注意である。

頻繁に様々な友人・知人(あるいは客)と会っている
頻繁に様々な友人・知人と会っている人はいわゆる活発な人と言うことになろうが、やはり感染リスクが高いだろう。普段接しない人に会うこと自体が感染リスクなのだから、その会う人数が増えれば感染リスクは高まることになる。今はほとんどいないのかもしれないが、ツアー旅行マニアは注意が必要だろう。

プライベートもさることながら仕事柄様々な人に会う職業は感染リスクが高いだろう。そうは言っても通常の接客での感染報告を私は知らないし、さほどの感染リスクがあるとは思われない。まとまった時間を共有する接客を行う職業は感染リスクが高いと言えよう。医師、看護師、介護士、ホスト、ホステスが典型的であろうか。

クラスター化しやすい場所に日常的に行っている
友人や知人に会うことの感染リスクという範疇ではないが感染リスクの高い人の属性という観点からは容易に推定される。日常性という意味では仕事として通っている場合がほとんどであろう。職業によって感染リスクが異なるということだ。直接客や利用者に接していなくてもスタッフからの感染が十分に考えられる。医療機関、高齢者施設が典型であろうか。

高リスク属性の人は感染リスクが高いだけではなく、感染すれば多くの人に感染させるスーパースプレッダーになる可能性も高い。逆に高リスク属性の人への感染を抑えることができれば、感染の収束が見えてくるのではなかろうか。クラスターの詳細な感染経路分析よりも属性分析の方が遙かに簡単なはずである。専門家には高リスク属性を是非明らかにしてもらいたい。

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